米国法人設立における国際税務

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海外支店の換算

米国法人は米国外の事業活動による所得もその課税対象となります。例えば日本支店を有している場合は日本支店の事業所得も申告しなければなりません。その場合、通常日本支店では日本円で事業活動を記帳していることから、連邦税の申告の際には米ドルへの換算が必要になります。

以下は、連邦税における外貨建て取引の規定のうち外国支店の換算についてまとめたものです。

機能通貨と換算

外国支店は通常当地の通貨により営業活動の記帳を行います。例えば、日本に支店を有している場合、その日本支店は日本円で帳簿をつけるのが普通でしょう。これを税法の規定に照らしていれば、「日本支店の機能通貨は日本円である」ということになります。

米国法人の機能通貨は原則米ドルとなりますが、外国通貨が使用される経済環境化で事業を行っており、その外国通貨で事業の記帳を行っている場合には、当該外国通貨が機能通貨となります。難しそうな説明ですが、通常は単純な話です。例えば、日本支店のケースでは、円を通貨としている日本で事業を行っており、かつ日本円で帳簿をつけているため、日本支店の機能通貨は日本円ということになります。

次に、外国支店の機能通貨がその外国の通貨だとすると、その売上・費用等の記録はその外国通貨で行われています。しかし、米国での申告上は全て米ドルに換算しなければなりません(そうしなければ米ドルでの税額の計算ができません)。外国支店について米国の申告を行うのに必要なのは、おおまかに言って、外国支店の所得と外国税額です。外国税額については損金算入と税額控除かのいずれかを選択できますが、通常は税額控除の方が有利であり、ここでは税額控除を行うことを前提とします。これらの外国支店の所得(米国本店の所得と合算します)と外国税額(税額控除します)はいずれも外国通貨建てであるため、これを米ドルに換算します。

外国税額の換算

外国税額は原則として支払った日のスポットレートで換算します。ただし、発生主義で外国税額を計上している場合は、その年度の平均レートで換算することができます。ここで、平均レートとは日々の為替レートの単純平均をいいます。ただし、次のようなケースについては平均レートを使用することができないため、原則どおり支払日の為替レートを使用しなければなりません。

  1. 実際の支払いが計上した年度から2年以上後に行われた場合
  2. 前年度以前に関連する税金の支払

また、還付を受けた場合は、もともとその還付の対象となった税金を換算した際に使用した為替レートを使って換算します。

外国支店の所得の換算

外国支店の所得については、その年度の平均レートで換算し、米国法人の所得に合算します。このように単純に外国支店の所得をドル換算するだけなので、外国支店が有している資産・負債の換算差損益は含まれないことになります(為替レートが動けば資産・負債の換算差損益が生じているはずです)。この換算差損益については、外国支店の利益を本店に送金する場合にはじめて損益として顕在化します。この場合の換算差損益は、送金された利益のスポットレート換算額と過去からのドル建て利益の累積額の差額です(ドルベースでの利益の支払額は平均法により算出します)。




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